
歯科ドックってなに?!
皆さんは「歯科ドック」と聞いて、どんなことを想像するでしょうか。ドッグに近い発音だから犬の歯科検診だろう、と思ったりしませんでしたか?
そんな誤解を生まないために、今回は歯科ドックについてお話したいと思います。
まず歯科ドックとは、口腔内の定期検診のことをいいます。一般的に知られている人間ドックでは体全体の健康状態を細部まで検査しますが、歯科ドックではお口の中を専門的に検査します。
歯・歯茎・歯並び・噛み合わせ・舌・粘膜・顎関節・咀嚼筋などを隅々までみていくことによって、虫歯・歯周病・口腔がんといった疾患の発見、将来的なお口トラブルのリスクの予測、お口の健康維持・増進に役立てます。また、歯科ドックを行うことで、口腔内とは別の部分の疾患が見つかることもあります。
近年、全身の病気がお口の状態と深く関係しているということが分かってきました。
ちょっと怖い話をすると、お口の中のトラブルのひとつに歯周病がありますが、歯周病が進行してしまうと、様々な全身の病気を引き起こし、命に関わるくらい重篤な病の引き金になることがあるといわれています。
つまり、歯周病菌やその他の菌が唾液や血液に乗って全身の臓器に運ばれると、心臓病・肺炎・脳卒中などの病気を引き起こす、糖尿病の状態への悪影響、さらには妊娠中の早産や低体重児出産の原因につながる場合もあるのです。
今では、骨粗鬆症や認知症、そして“がん”と歯周病の関係についての報告も出てきています。いずれも近年増加傾向にある症状や病気です。
これらのことから、お口の中が健康であることが全身の健康管理にもつながる、ということがお分かりいただけたでしょうか。
歯も身体の一部です。今までの日本の歯科治療では、歯を守る「予防」にあまり力を入れていませんでしたが、自分では気がつかない悪いところを見つけ、健康を維持するためにも一度は歯科ドックを受けることをお勧めします。
- 参考文献:一般社団法人 日本歯科人間ドック学会