フロリデーションとは、主に水道水中にフッ化物(フッ素の化合物)を添加し、多数の人を対象に虫歯予防を行う方法です。添加されるフッ化物は、虫歯の発生を抑制できる量(1ppm前後)で、過剰摂取にならないように浄水場で調整します。水道水ではなく食塩や、ミルク、タブレットなどにフッ化物を添加する場合もあります。ここでは、フロリデーションのメリット・デメリット、世界の取り組み状況、国ごとでどのように取り入れているかについてご紹介します。 |
虫歯は、「歯の質の問題」、「お口の中の細菌」、「飲食の取り方」、「食べ物が口の中に停滞する時間」が重なることによって発生しますが、フロリデーションを受けることで歯の質を強化することができるため、虫歯予防になることが報告されています。
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【※斑状歯とは】
斑状歯は、「歯牙フッ素症」ともいい、フッ素による全身的慢性中毒により現れます。フッ化物イオン濃度の高すぎるものを歯が形成される期間中に継続して摂取することで、歯の形成が阻害され発現します。したがって、歯の形成が完了している成人では、高濃度のフッ化物が添加された水を飲用していても斑状歯にはなりません。見た目の特徴をあげると、歯のエナメル質(表層部分)に、不透明な点状、線状、縞状などの白濁が見られ、重度になると小さなくぼみや凹凸が見られ、くぼんだ部分に茶褐色や暗褐色などの着色がみられることがあります。 |
フロリデーションの安全性、および効果については、世界保健機構(WHO)やアメリカ疾病予防管理センター(CDC)などの世界の専門機関が安全性を認め、普及を支持しているのが現状です。上水道フロリデーションは、アメリカ、オーストラリア、ブラジル、香港、アイルランド、マレーシア、ニュージーランド、シンガポール、イギリスなど多くの国々や地域に導入されています。調整、天然いずれかによるフロリデーション実施国を合計すると61カ国になり、3億5,600万人が虫歯予防の恩恵を受けているといわれています。なお、日本では一般的に普及しておりませんが、一部の家庭では、フッ素が含まれる井戸水を使用し、天然のフロリデーションを受けているところがあります。 |
海外の国々や地域によってフロリデーションの取り入れ方は大きく異なります。例えば、オーストラリアでは、水道水への添加を採用しているため、過剰摂取にならないようにフッ化物タブレットの使用は禁止されています。ヨーロッパでは、地形に高低差があるので水道整備が難しく、食塩、もしくはタブレットによるフッ化物の添加が行われています。このように、フロリデーションのような全身応用を実施しているところでは、過剰摂取にならないように行政で調整が行われています。また、全身応用と併せて、歯科医院でのフッ化物歯面塗布や、フッ化物入りの歯磨き剤の使用などの局所応用も実施しているところが多くあります。 |
フッ化物は、用法・用量を守って正しく応用すれば、副作用がでないといわれています。世界中で調査研究が行われ、有効性や安全性が確認されたことにより、フッ化物の利用は拡大している傾向にあります。 詳しくはこちら >>NPO法人 日本むし歯予防フッ素推進会議
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