歯根が折れた場合の症状と治療法

歯根破折

歯根破折とは

歯根破折とは、歯の根っこ(歯根)が割れたり、ヒビ割れたりすることをいいます。歯根破折は、石のような硬い物を誤って噛んだ、歯ぎしり、打撲など歯への大きな負担が誘発原因となり、過去に歯髄を除去した歯(根管治療を受けた無髄歯)や、歯の中にある神経や血管(歯髄)にまで虫歯が達した歯に多くみられます。しかし、ごくまれに健康な歯でもみられることがあります。ここでは、歯根破折の症状や治療法についてご紹介します。

歯根破折に見られる症状

  • 歯茎の腫れがある
  • 歯や歯茎の痛みがある
  • 咬合痛(噛むと痛い)がある
  • 歯茎に膿の出口(瘻孔 [ ろうこう ] )ができる
  • 被せ物が外れやすい
  • 歯がぐらつく
  • 出血がある

このような症状がみられることもありますが、自覚症状がないこともあります。該当する症状が現れた場合は、速やかに受診し、適切な処置を受けることが必要です。症状がありながら放っておくと、破折したこところが細菌感染を起こし、炎症が大きくなって顎の骨が溶けてしまい、その後の治療に悪影響を及ぼすことも考えられます。

診断について

レントゲン

まず、レントゲン写真や視診で歯根の状態を確認します。しかし、これらの方法で確認できることは少なく、その場合は下記のいずれかの方法で調べます。

  • 歯、被せ物、詰め物などを削って歯冠部分を除去して確認する
  • 歯茎を切り開いて確認する
  • マイクロスコープを用いて確認する

歯根破折の治療法について

破折の程度や炎症状態によって、適切な治療方法は異なります。下記は、主に行われる治療法です。

■歯内治療(根管治療)

根管内の清掃、洗浄、消毒を行い、併せて破折している部分を歯科材料で埋めます。根管治療によって痛みや炎症などが治まったら、根管に薬剤を詰めて被せ物や詰め物を入れることができ、再び歯の機能を取り戻すことができます。破折や感染が小さい場合に行われる治療です。

■歯根分割抜去法

小臼歯や大臼歯の中には、歯の根っこが2〜3本あるものもあります。問題のある歯の根っこだけを切断して、抜歯を行います。残せる歯の根っこは歯内治療を行い、お口の状態によって、単体で歯の機能を取り戻せる「クラウン」を装着する場合と、隣の歯を削って連結させる「ブリッジ」や「延長ブリッジ」を装着する場合があります。歯の根っこの本数や、破折や感染の程度、お口全体の状態などの条件があえば受けられる治療です。

■抜歯

破折や炎症が大きく、どの方法を用いても歯を残すことが難しい場合は抜歯となります。抜いた歯を補う治療法としては、ブリッジ、入れ歯、インプラントがあります。

歯根破折を起こし抜歯以外の治療を受けた場合、あまり長期予後が期待できないといわれていますが、定期検診をきちんと受けることでお口の状態を維持し、長期間にわたって使い続けられることもあるようです。どの治療法が適しているかについては、歯科医師とよく相談しましょう。


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