歯科麻酔医のお仕事

麻酔

歯科治療の際に、全身麻酔(※1)や精神鎮静法(※2)のもと全身状態を管理しながら行われることがあります。歯科医師は、歯科治療を目的とした場合に限り、全身麻酔や精神鎮静法を行えることが法律で認められています。しかし、ある一定の知識や技術を要するため、すべての歯科医師が行えるわけではなく、大学の歯科麻酔学講座や、医科における麻酔研修で経験を積んだ歯科医師だけが行っているのが現状です。ここでは、歯科麻酔医の主な仕事の内容についてご紹介します。

(※1) 全身麻酔
意識を失わせて、全身の痛みの感覚を麻痺させる方法です。全身麻酔は入院が必要となることが多くありますが、健康状態に問題が無く、2時間以内の歯科治療や小手術などの場合は、日帰りで受けられる場合もあります。
(※2) 精神鎮静法
全身麻酔とは異なり、意識を失わせたり、痛みの感覚を麻痺させたりする方法ではありません。少量の精神安定薬や麻酔薬の投与によって、緊張感や恐怖感を和らげ、心身を落ち着かせる方法です。

歯科麻酔医の主なお仕事内容

  • 口腔外科手術の全身麻酔の実施
  • 有病者、障害者、小児患者の歯科治療における全身麻酔や精神鎮静法の実施
  • インプラント手術、抜歯などの小手術における全身管理や精神鎮静法の実施
  • 歯科恐怖症や強い嘔吐反射がある方における全身管理や精神鎮静法の実施
  • お口の中や顔面などに痛みや麻痺のある方の治療(ペインクリニック)

歯科麻酔医は、主に決まった大学病院や総合病院、または一般歯科に所属していることがほとんどで、このような業務と平行して歯科治療を行っている歯科医師もいます。また、連携している歯科医院から要請があった場合に、全身管理や精神鎮静を行うために出張している歯科医師も多くいます。

ご存知ですか?日本歯科麻酔学会専門医

歯科麻酔医 日本歯科麻酔学会専門医とは、一般社団法人日本歯科麻酔学会が、歯科麻酔の知識や経験を持つものとして認めた歯科医師に交付する資格認定制度です。審査・試験を経て、合格した歯科医師に交付されます。この試験を受けるためには、規定カリキュラムに従い、200症例以上の全身麻酔の実績や、規定の講習会の参加、論文の提出などが必要となります。このことから資格を持つ者は、歯科麻酔の標準的な知識を持ち、適切な麻酔処置が行える歯科医師であることを見極める一つの指標となるでしょう。


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