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親知らず 抜歯後 食事

親知らず抜歯後の食事ガイド|おすすめメニューや注意したいポイントも

監修者

古川 雄亮先生
古川 雄亮先生

国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

「これから親知らずの抜歯の予定だが、抜歯後は食事に気をつける必要がある」話を聞いた方や、「抜歯前後に食べていいもの、逆に避けたほうが良いものについて知りたい」方はいらっしゃいませんか。

親知らずを抜歯した後は、食事のタイミングや飲食物に注意する必要があります。今回、抜歯後の食事のできるタイミング、食べてよいもの・避けたほうがよいものの具体例、抜歯後に注意すべき3つのポイント、出血時の対処法について紹介します。

記事の3つのポイント

・抜歯当日の食事は麻酔が切れてから、流動食・半流動食を摂取するのが安全
・抜歯の翌日以降は軟らかい食材を、抜歯した側と反対側の歯で噛むことを意識
・飲酒・喫煙・激しい運動・長風呂・強いうがいや歯磨きはNG!

親知らず抜歯後の食事はいつから可能?おすすめメニューは?

親知らずを抜いた直後は、麻酔をして痺れが残っているので食事が難しくなります。

抜歯後に食事が可能になるタイミング、抜歯後も摂取できる食べ物の具体例、抜歯翌日以降の食事で気をつけるべきポイント、通常の食事に戻すタイミングなどについて、それぞれ詳しく解説します。

抜歯当日の食事は麻酔が切れてから!


抜歯当日は、麻酔が切れるまで食事をしないほうがいいでしょう。麻酔が効いている間は麻痺が残っているため、食事をすると誤って唇や舌を嚙んでしまう、水分が口からこぼれてしまう、熱い食べ物の温度を感じにくくやけどする、といったリスクがあるからです。

ただし、極端に食事を抜いて体力が低下すると、免疫力に悪影響が出てしまうため、麻酔が切れた以降は食事はして構いません。

術後の腫れなどで食べにくい際、おかゆ、スープ、雑炊、豆腐、茶碗蒸し、ヨーグルト、ゼリー、プリンといった、飲み込みやすい流動食や半流動食を摂っても良いでしょう。

抜歯翌日以降の食事のポイントとは?


抜歯の翌日以降は、軟らかい食べ物を選んで食べるとよいでしょう。

おすすめの食べ物の具体例としては、蕎麦やうどん等の麺類、ハンバーグ、軟らかい魚などです。

ただし、食事の際に腫れや痛みがある場合、抜歯当日と同じお粥ような軟らかい食べ物に切り替えても良いでしょう。

通常の食事に戻るタイミング


抜歯後の傷は、一般的に1〜2週間程度で治ります。そして、抜歯で空いた穴が気にならなくなるのは約30日後とされています。ただし、抜歯からおよそ3日前後が経過し、抜歯による痛みや腫れが引いて、お口を開けたりものを噛んだりすることが苦に感じないならば、徐々に通常の食事に戻しましょう。

親知らず 抜歯後 食事

親知らず抜歯後の食事では刺激が強い食べ物や硬いものは控える

親知らずの抜歯後の食事では、刺激が強い食べ物を食べるのは控えたほうがよいと考えられます。具体的には、カレーや麻婆豆腐といった辛い食べ物や、唐辛子、山椒などの香辛料の摂取は避けましょう。

カレーなどの食べ物や唐辛子などの調味料は、傷口に強い刺激を与えてしまい、痛みや腫れが悪化する原因となるからです。

また、硬い食べ物も傷口に過度な負担をかけたり、傷口が開いてしまう可能性があり、、抜歯後の腫れがある程度引くまでは食べない方がよいかもしれません。具体的には、せんべい、フランスパン、ナッツ類などの摂取はしばらく控えましょう。

アルコールやタバコは厳禁!


アルコールやタバコの摂取も、抜歯後の治癒に悪影響を及ぼします。アルコールは血流を良くする働きを持つため、抜歯後の出血が多くなり、痛みの発生につながる可能性があるからです。さらに、アルコールは刺激物と同じく、いったん収まった腫れや痛みの再発原因になるため、抜歯後の摂取は控えましょう。

喫煙も腫れや痛みの再発につながる原因となるだけでなく、タバコに含まれるニコチンが血流を悪化させ、抜歯後の傷口の治りが遅れます。

さらに、抜歯部位の血液成分が固まってできる、傷口をふさぐ働きを持つ「血餅(けっぺい)」の形成を遅らせ、傷口が露出し細菌感染による骨の炎症が起こる「ドライソケット」の原因にもなりかねません。

親知らずの抜歯後に食事以外で注意したい3つのポイント

親知らずの抜歯後のタイミングに注意すべきことは、食事以外にもあります。抜歯後に注意すべきポイントの具体例として、以下に紹介する3つです。

①激しい運動や長風呂をしない


激しい運動は血流を促進し、傷口からの出血を増加させ、痛みを増幅させる要因となりかねません。抜歯後、しばらくは激しい運動を行うことは避け、できる限り安静にしましょう。

同様に、長時間の熱いお湯の入浴も血流を良くするため、抜歯直後の出血の増加と痛みの発生につながる可能性が出てきます。抜歯直後は入浴を短めにしきましょう。

②強いうがいを避け、歯磨きはやさしく行う


抜歯後、過度に強いうがいをすると、傷口が広がり止血の妨げになったり、固まりかけた血餅がはがれ、再度の出血や細菌感染が発生する原因となりかねません。そのため、抜歯当日は強いうがいを行うことは可能な限り避け、翌日以降もうがいをする際には強い力で行わない、頻回にしないように気を付けましょう。

また、抜歯後に強い力で歯磨きを行うことも控えましょう。傷口付近を強くブラッシングすると、縫合した傷口が開いて細菌が入ってしまう可能性があるからです。抜歯後2〜3日は傷口に軽くブラシを当てて汚れを落とす程度にとどめ、抜歯した部分を刺激しないことを意識しながら歯磨きしましょう。

③処方された薬はきちんと服用する


抜歯後に歯科医院から処方された薬は、必ず指示通りに飲む必要があります。処方された内服薬には、化膿を止める抗生剤と、痛み止めである鎮痛剤の2種類があります。

抗生剤は傷口の感染を予防する働きを持っているため、薬の服用を忘れてしまったり、服用を途中で止めてしまうと、細菌感染を起こす可能性を高めます。

鎮痛剤は痛みがある際に服用しますが、1度の服用につき6時間程度空けることが望ましいです。ただし、鎮痛剤の数が不足したり、薬の服用中にかゆみや息苦しさを感じたり、蕁麻疹が発生した場合、速やかに歯科医院に相談し、適切な対処を行ってもらいましょう。

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親知らずの抜歯後に出血が止まらないときの対処法

親知らずの抜歯後に出血が止まらない場合、ロール状にした清潔なガーゼを抜歯後の穴の部分に置いて30分ほど強く噛んで圧迫止血を行うとよいでしょう。

仮にこの段階で出血が止まったら、血が付着したガーゼはお口の中に入れっぱなしにするのではなく、お口の中から取り出した後に処分しましょう。

1回の対処で出血が止まらなかった場合、再度ガーゼ、ティッシュ、脱脂綿などを使って強く噛み、圧迫止血を試みましょう。それでも症状が改善しない場合、歯科医院に足を運んで診察を受け、専門医の手で止血処置を施してもらうことをおすすめします。

参考:豊橋市歯科医師会

まとめ

親知らずを抜歯した当日の食事は、麻酔が切れてから取りましょう。流動食や半流動食のような食べやすいものを摂取し、翌日以降もできる限り歯に負担がかからない軟らかめの食べ物を選ぶことをおすすめします。

抜歯から3日前後が経過し痛みや腫れが引いてきて、お口を開けたり、ものを噛んだりするのが苦にならない状態であれば、通常の食事を摂っても問題はありません。

ただし、抜歯後は食事だけでなく、飲酒や喫煙、激しい運動や熱いお湯の長風呂、強いうがい・歯磨きを避けることを意識したほうがよい点も頭に入れておきましょう。

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