「家族に口臭を指摘され、歯医者に行くことを勧められた。本当に歯医者に行くと口臭が治るのか半信半疑。きちんと歯医者に行ったほうがいいの?」そんな疑問をお持ちの方はいらっしゃいませんか。
結論、歯医者に行くことで口臭が改善される可能性は高いです。今回、歯医者での口臭治療法3つ、歯医者で口臭治療を受ける際に必要な費用と期間、4つの口臭の種類、4つの口臭の予防方法を詳しく紹介します。
記事のポイント3つ
・口臭の原因はお口の中が多い。
・歯医者の診察と治療を受けて、口臭が改善することが多い。
・虫歯や歯周病が原因の口臭の治療は、公的医療保険の適用が可能となる。
口臭は歯医者で治る?
口臭の原因がお口の中にある場合、歯医者での治療で口臭を改善することが可能です。虫歯、歯周病、「舌苔(ぜったい)」という舌の汚れ、お口の中の乾燥などで口臭が発生しているなら、歯医者での治療が適切です。
ただし、糖尿病や肝臓の病気、胃腸の不調によって口臭が発生しているケースでは、歯科での治療での口臭解決は難しくなります。内科を受診したほうがよいでしょう。
歯医者での口臭治療の内容は?
歯科医院で口臭の治療を受ける際には、患者さんに応じて検査と治療の3行程があります。
検査
専用機器による口臭測定を行い、舌の視診、唾液量の検査、保湿度の測定、レントゲン撮影などを行い、お口の中の状態を可能な限り把握します。口臭原因を検査で突き止め、患者さん一人ひとりに応じた適切な治療計画を立てていきます。
虫歯や歯周病の治療
口臭原因が虫歯や歯周病である場合、治療することで口臭が改善できます。虫歯や歯周病を治療することで、口臭原因となる細菌の繁殖を抑制できるからです。また、歯周病治療の一環として、歯周ポケット内の細菌や歯石を除去することも、口臭解決の有効な手段です。
舌苔(ぜったい)の除去
「舌苔」は、舌の表面に付着した白い苔のような汚れです。舌苔には、細菌や食べかすといった口臭を発生させる物質が舌に付着しているため、除去することで口臭の改善につながります。歯科医院には舌を清掃する専用器具があり、舌苔を安全に処理できます。
口臭を歯医者で治療するときの平均費用
口臭を歯医者で治療する際の必要費用は、公的医療保険適用の有無で変わります。虫歯や歯周病といったお口の疾患が口臭原因であれば、保険適用での治療が可能です。
ただし、口臭がそれ以外の理由で発生している場合や、口臭に対する予防的な処置の場合は、公的医療保険が適用されなくなります。
公的医療保険が適用される場合の治療費の目安は数千円から1万円程度で、初診の場合はおよそ2万円ほどが相場になります。ただし、公的医療保険が適用されずに自費治療となるケースでは、高い場合で数万円程度の費用が必要になることもあります。
2025年4月 株式会社メディカルネット調べ
口臭を歯医者で治療するときの平均期間
治療が口臭のみである場合、3〜4週間ごとに1回のペースで歯科医院に行けば、2〜3カ月程度で治療を終えることが一般的に可能です。また、口臭の症状が軽度であれば、1〜3回の通院で治療が終了する可能性もあります。
ただし、虫歯や歯周病が口臭原因なら、治療が完了して再び口臭の状態を評価する必要があるため、治療期間も長くなります。また、重度の歯周病、全身疾患、ドライマウスや唾液分泌の低下が口臭原因である場合、治療が長期化する可能性が高くなる点に注意しましょう。
口臭の種類と原因をチェック!
口臭には種類があり、原因もそれぞれ異なっています。この項目では、口臭のタイプを4つ、種類ごとに特徴・原因を詳しく紹介します。
生理的口臭
生理的口臭とは、日常生活で発生する口臭です。起床時、空腹時、緊張やストレスを感じた時などのタイミングで唾液が減少することによってお口の中が乾燥し、口臭原因となる細菌が繁殖して口臭の発生につながります。また、幼少期や生理といったホルモンバランスが不安定な時期にも、口臭は生じやすいです。
生理的口臭の対策として、普段の歯磨きを丁寧に行ったり、食事や水分を摂取することがあります。ただし、生理的口臭は健康な人であっても発生するため、治療は必要ないと考えられています。
病的口臭
病的口臭は、病気が原因の口臭です。歯周病、虫歯、舌苔、歯垢(プラーク)や歯石の付着、唾液の減少といったお口の症状が主な要因です。
お口の中の治療を受けることによって、対処が可能です。ただし、鼻やのどの病気、呼吸器系・消化器系の病気、肝臓病、腎臓病、糖尿病といった全身疾患の影響で口臭が発生しているケースに関しては、原因となっている病気の治療を受ける必要があります。
外因的口臭
外因的口臭は、飲食物や嗜好品の影響で発生する口臭です。ニンニク、ニラ、ネギ、香辛料といった臭いの強い食べ物、お酒やアルコール、口臭の原因となるニコチンを多く含んだタバコ、漢方薬やビタミンB剤などの薬物を摂取した際に、口臭発生のリスクが大きく高まります。
外因的口臭の原因成分は血液を通じて全身(肺など)に行き渡るため、発生後にお口の中を洗っても口臭が残ります。しかし、外因的口臭はあくまで一時的なことがほとんどで、基本的に時間経過とともに症状が治ります。
心理的口臭
心理的口臭は、口臭検査等を受けても口臭が確認できず、患者さん本人は口臭があると思い込む口臭です。精神的に不安定であったり、強いストレスを抱えている状態にあると、心理的口臭に陥りやすいです。
心理的口臭の治療には、歯科医での診察を受け、口臭がないことを客観的に確認してもらったり、精神科でカウンセリングを受けたりするとよいでしょう。
また、健康な人でも心理的口臭を含めて口臭が発生するため、種類を頭に入れておきましょう。
口臭を予防する4つの方法
口臭の自覚は難しいですが、予防手段は複数あります。この項目では、口臭予防の効果的な4つの方法を解説します。
デンタルフロスや歯間ブラシを活用する
お口の中を清潔に保って口臭を予防するには、日々のブラッシングが欠かせません。しかし、歯ブラシだけでは歯と歯の間に溜まった汚れを取り除くことは難しいため、細菌が繁殖し口臭を感じることは少なくありません。
デンタルフロスと歯間ブラシは、いずれも歯と歯の間の細かい隙間の汚れを落とす器具です。そのため、ブラッシングを行う際に歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを併用することによって、口臭の予防効果を大きく高めます。
舌苔を取り除く
口臭の原因の多くは舌苔のため、舌苔を取り除くことができれば口臭を改善できる可能性は高くなります。ただし、舌苔はうがいで除去できないため、舌ブラシや舌ヘラ、軟らかい歯ブラシなどの器具を使う必要があります。
具体的な除去の手順ですが、最初に鏡を使って舌の奥の方に舌苔が付着しているかを確認し、舌ブラシ、舌ヘラ、水にぬらした柔らかい歯ブラシなどを用いて、舌の後ろから前に向かって汚れをかき出すことを意識し、ブラシを動かして舌苔を取り除きます。
お口の中を乾燥させない
定期的に水分を摂取してお口の中の乾燥を防ぐことも、口臭を防ぐうえで有効です。お口の中が乾燥すると、細菌の繁殖を防ぐ唾液の分泌量が減少し、細菌が増えて口臭が発生する可能性が高くなるからです。
お口の中の乾燥を予防するためには、水分をこまめに摂取する習慣が大切です。加えて、ものをよく噛んで食べたり、口呼吸の癖がある場合は鼻呼吸に切り替え、禁酒・禁煙し、ストレスを溜めないように心がけるなどの行動も唾液分泌を促し、細菌繁殖を防ぎます。
歯医者で定期検診を受ける
口臭は患者さん自身で自覚することが難しい点も特徴的です。口臭が発生する理由は多岐にわたるため、自分自身で原因を判別し対処することは非常に難しいです。
歯科医院で定期検診を受けることによって、口臭の客観的判断ができます。歯科医院で口臭の原因を特定し、いち早く適切な対処を受けましょう。加えて、通常のブラッシングで落とせない汚れを除去し、虫歯や歯周病の発生も防ぎましょう。
まとめ
虫歯や歯周病が原因で口臭が発生している場合、歯医者での治療で改善できます。ただし、それ以外が口臭の原因なら、内科や精神科などでの治療が必要です。
口臭の原因のほとんどはお口の中より、まずは歯科医院や口臭外来の受診をおすすめします。また、口臭に自分自身で気付くことは難しいため、治療後も歯科医院で定期検診を受け、口臭の再発を確認ししょう。