この記事の要約
・ビタミンK2の働きにより再石灰化を助けるなどし、虫歯になりにくくなる
・ビタミンK2を多く含む食品の一つに納豆がある
・ワーファリンを服用している方は、ビタミンKの摂取を控えた方が良い
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
目次
皆さんはビタミンK2という成分をご存知でしょうか。ビタミンK2は、虫歯予防に効果がある、と言われています。ビタミンK2は、虫歯に対してどのような効能があるのでしょうか。ビタミンK2について詳しく解説します。
・ビタミンK2の働きにより再石灰化を助けるなどし、虫歯になりにくくなる
・ビタミンK2を多く含む食品の一つに納豆がある
・ワーファリンを服用している方は、ビタミンKの摂取を控えた方が良い
ビタミンK2という成分を摂取することで、虫歯になりにくくなるとされています。
脱灰が起きた歯を元に戻す再石灰化では、オステオカルシンというたんぱく質が糊のような役割を果たし、骨にカルシウムが結合するのを助けます。
ビタミン2はたんぱく質を作る働きがあり、骨や歯の形成を促します。
また、骨からカルシウムが溶け出してしまうのを抑える機能もあり、脱灰が起きにくくなります。
ビタミンK2が多く含まれている食品のひとつが、納豆です。納豆を日常的に摂取している人とそうでない人とでは、ビタミンKの摂取量が2倍ほど異なるという調査もあります。
ビタミンK2は脂溶性のため、油と一緒に摂取すると吸収しやすくなります。その他にビタミンK2を含む食べ物としては、グラスフェッドバター、チーズ、卵黄などがあります。
2019年の国民健康・栄養調査では、ビタミンKの摂取量は男性で平均246μg/日、女性で平均235μg/日となっており、男女とも目安量を満たしています。
目安量は年齢層や性別で異なりますが、18歳以降であれば男女ともに150μg/日がビタミンKの食事摂取基準となります。
また、ビタミンK1およびビタミンK2は、過剰に摂取しても毒性がないことがわかっています。食事摂取基準においても、上限量はとくに定められていません。
ビタミンK2以外のビタミンにも、虫歯予防につながる働きがあります。
虫歯に対して良い働きをもつビタミンK2ですが、ワーファリンというお薬の効果を邪魔するおそれがあります。ワーファリンとは血液をサラサラにするお薬で、血栓ができるのを防ぎますが、ビタミンKは血液凝固に関係する作用をもちます。
血液凝固阻止剤であるワーファリンの作用を減弱させてしまう可能性があり、ワルファリンを飲んでいる方は納豆の摂取を控える必要があります。また、ビタミンK剤の服用も控えた方が良いでしょう。
ビタミンK2はたんぱく質を作る作用があります。たんぱく質は骨にカルシウムを含ませる役割をもっており、再石灰化の促進や脱灰抑制の効果があります。虫歯になるとビタミン摂取のみで改善はできないので、注意しましょう。
そのため、ビタミンK2の摂取は虫歯予防にも役立つと考えられます。また、ビタミンK2は沢山摂取できるとされています。ただし、ワーファリンを服用している場合は薬の作用を弱めるので、ビタミンK2を摂取しないように気をつけましょう。