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虫歯に塗り薬は効くの?おすすめの塗り薬4選と市販薬以外の対処法も紹介

監修者

古川 雄亮先生
古川 雄亮先生

国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

虫歯用の塗り薬があるのをご存知でしょうか。市販品を目にした方もいると思います。虫歯に効く塗り薬には、どのような効果があるのでしょうか。そして、塗り薬で虫歯を治すことは可能なのでしょうか。塗り薬の詳細や、市販薬以外の対処法などを解説します。

この記事の要約

・塗り薬では虫歯そのものを治すことはできない
・デンタルクリーム、新今治水、コンジスイQ、デントヘルスRなどの塗り薬がある
・虫歯は細菌感染症であり、歯を削る治療により完治する

虫歯は塗り薬では治せない!

塗り薬を使った歯痛対策の前提として、塗り薬では虫歯そのものは治せないことを知っておきましょう。虫歯などによる痛みを一時的に緩和することが塗り薬の目的で、根本治療ではありません。

塗り薬で虫歯による痛みを感じなくなったのなら、虫歯による歯髄炎(しずいえん)が起き、歯髄が死んで痛みを感じなくなっているおそれがあります。その後、歯の根の部分が膿んで痛みが出る可能性があるため、虫歯などによる痛みがある場合、早めに歯科医院を受診しましょう。

虫歯の痛みに効果が期待できる塗り薬の成分

虫歯による痛みに効く成分には、どのようなものがあるのでしょうか。塗り薬によく含まれている有効成分を紹介します。

ジブカイン


炎症にともなう痛みを抑える成分として、ジブカインがあります。局所麻酔作用により、虫歯による痛みが和らぐ効能があります。

アミノ安息香酸エチル


局所麻酔作用によって炎症による痛みを抑える成分として、アミノ安息香酸エチルがあります。塗り薬を選ぶとき、有効成分としてチェックしたいものの一つです。

グリチルリチン酸カリウム


甘草の根から抽出したグリチルリチン酸にカリウムを結合させた成分です。グリチルリチン酸には抗炎症作用があり、虫歯などによる歯肉の腫れを鎮める効果があります。塗り薬を検討する際、こちらの有効成分が入っているかの確認も判断材料になります。

虫歯におすすめの塗り薬4選【市販薬】

虫歯の痛みを和らげる塗り薬を4つ紹介します。市販薬なので手軽に購入できます。

デンタルクリーム


2種類の痛み止めが配合された軟膏タイプの塗り薬で、痛みを感じる患部に直接塗ります。メントールが入っているので、塗ったときも不快感が軽減されます。歯槽膿漏にも効果があり、6歳から使用できます。4g入りで、価格は540円ほどになります。

新今治水


1898年発売というロングセラーで、長きにわたって親しまれている製品です。キャンフェニック処方(カンフル・フェノール・アルコールの配合)を応用しており、液体の薬が虫歯に直接作用します。2分以内に鎮痛効果が出るので、すぐにでも歯痛を抑えたい方におすすめです。子どもや妊娠中の方も利用できます。4ml入りで、価格は560円ほどになります。

コンジスイQ


虫歯に直接作用する今治水のゲルバージョンで、より持続性が高いのが特長です。EPC処方(オイゲノール・フェノール・カンフルの配合)の歯痛薬で、歯が生えている乳幼児から使用できます。3g入りで、価格は520円ほどになります。

デントヘルスR


歯肉炎や歯槽膿漏による歯肉の出血、腫れ、痛みなどを緩和する歯槽膿漏薬です。ゲル剤を指で患部に塗るタイプで、4つの有効成分が患部にとどまります。デントヘルスRは唾液に含まれるカルシウムと反応し、粘性が高まって流れにくくなります。悩ましい口内炎にも効果を発揮します。40g入りで、価格は1,100円ほどになります。

市販の塗り薬以外で虫歯の痛みに対処する方法

塗り薬のほかに痛みを軽減する方法として、代表的なものを紹介します。

患部を冷やす


患部を氷などで冷やすと痛みが引くことがあります。ただし、冷やしすぎると血流が悪くなって回復が遅れることがあるので、まずは水で濡らしたタオルで冷やすようなところから試してみましょう。

お口の中を綺麗にする


虫歯になったところは穴が開いており、そこに食べカスが詰まると強い痛みを覚えることがあります。歯磨きをしてこうした汚れをかき出すことで、痛みが和らぐ場合があります。これは「食片圧入」と呼ばれるもので、歯と歯の間などでも見られます。

ツボを押す


手の甲側の親指と人差し指の付け根にある合谷(ごうこく)は、歯の痛みを軽減するツボとして知られています。応急処置として効果が期待できます。また、合谷は眼精疲労や肩こりにも良いとされています。

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虫歯になる原因は?

そもそも、どのようなことが原因で虫歯にかかるのでしょうか。主な原因をいくつか見ていきましょう。

細菌(虫歯菌)


虫歯の原因となる酸を産生する細菌(ミュータンス菌など)がお口の中に沢山います。さまざまな細菌がバランスを保って共存していますが、虫歯菌が増殖してバランスが崩れると虫歯が進行するおそれがあります。

細菌が歯に付着しグルカンという歯垢の元を作ると、細菌のかたまりとなって歯垢が形成されます。歯垢中の細菌が酸を作り、歯を溶かしていきます。

食物(糖分)


細菌活動のエサとなるのが、食べ物や飲み物に含まれる糖分です。細菌はお口の中の糖を分解し、歯の表面に付着します。糖分が多いジュースやお菓子などをよく摂取していると歯垢が形成されやすくなり、酸も産生させます。

歯質


丈夫な歯であるかどうかの歯歯質も、虫歯のなりやすさに影響します。フッ素により歯質を改善することができます。

まとめ

まず知っておきたいのは、虫歯用の塗り薬は痛みを一時的に鎮めることを目的としており、根本的に治療するためものではないということです。こうした前提を踏まえて使用しましょう。基本的に虫歯は削ることで完治します。

塗り薬の代表的な有効成分を理解したうえで、製品を検討すると良いでしょう。塗り薬はあくまで応急処置としてのものであり、虫歯がある場合はすぐに歯科医院で治療しましょう。

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