最近、家族などの周囲の人から口臭を指摘されることが増えてきた。その時に「歯周病かも」とも言われたけれど、口臭は歯周病になるとなんで起きるの?そんな疑問をお持ちの方も、いらっしゃいませんか。
歯周病と口臭は密接に関わっており、進行に応じて口臭も悪化していく傾向です。今回、歯周病が原因で発生する口臭が持つ3つの特徴、歯周病以外の口臭が発生する4つの原因、歯周病による口臭への5つの対処法について解説します。
この記事の要約
・歯周病による口臭の原因は、「硫化水素」や「メチルメルカプタン」という物質。
・歯周病が原因の口臭になると、卵や野菜、魚が腐ったような臭いが発生する。
・毎日の歯磨きや、歯科医院での定期的な歯のクリーニングで歯周病が原因の口臭を軽減できる。
歯周病と口臭って関係ある?
口臭はお口の中のトラブルによって引き起こされることが多いですが、歯周病との関連性がとても深いです。歯周病になると、歯と歯肉の間に「歯周ポケット」と呼ばれる溝が発生し、病状の進行とともにそのサイズ(深さ)が大きくなります。
歯周ポケットの中は酸素が少なく、歯周病原細菌が繁殖しやすい環境です。そして、細菌の発生する「硫化水素」や「メチルメルカプタン」といった揮発性硫黄化合物により口臭が発生します。すなわち、お口の中の細菌が増加すると、歯周病が進行し口臭が起こる大きな要因となります。
歯周病が原因の口臭の特徴は3つ
歯周病が原因の口臭は、特徴的な臭いが発生する点で特徴的です。この項目では、どんな臭いがするのか、原因は何かを3つに分け紹介します。
卵が腐ったような臭い
歯周病の原細菌が発生させる揮発性硫黄化合物の一つに、「硫化水素」があります。硫化水素は腐った卵のような臭いが特徴で、「舌苔(ぜったい)」と呼ばれる舌の表面に付着した苔や、歯に付着した歯垢から多く発生します。歯周病になると、お口の中の硫化水素が増加し、卵が腐ったような臭いが生じます。
野菜や魚が腐ったような臭い
「メチルメルカプタン」という物質も、歯周病の原因菌によって産生される揮発性硫黄化合物の一種です。毒性のあるメチルメルカプタンは歯周病が進行する原因の一つです。「腐った玉ねぎのような臭い」とも言われ、野菜や魚が腐ったような臭いとも表現され、歯周病による口臭が発生する原因の一つになっています。
生ゴミのような臭い
歯周病の原因菌が生み出す揮発性硫黄化合物の大半は硫化水素とメチルメルカプタンの2種類です。しかし、「ジメチルサルファイド」という物質にも注意が必要です。ジメチルサルファイドは発生する割合が少ないものの、生ごみや腐ったキャベツに近い臭いを発生させるため、こうした臭いを感じた場合は、ジメチルサルファイドを疑ったほうがいいかもしれません。
歯周病が原因の口臭は自分でわかる?
口臭は身体から発生する臭いの一つで、常に嗅いでいることで臭いに慣れます。そのため、他人が気になるレベルまで口臭が悪化していたとしても、自分自身で気づけないケースも多いです。検査によって口臭の有無を確認するのが有効です。
歯周病以外が原因の場合も!口臭の種類
歯周病は口臭の発生する大きな要因の一つですが、口臭が起こる理由はそれだけではありません。歯周病以外で発生する口臭の種類に以下の4つが主に挙げられます。
生理的口臭
生理的口臭とは、起床時、空腹時、緊張時、ストレスが溜まった時など、唾液の量が減少するタイミングに発生する口臭です。唾液は細菌の増殖を防止したり、お口の中の汚れを落とす自浄作用を持っているため、唾液の減少は揮発性硫黄化合物を増加させて、口臭にもつながります。
生理的口臭は、食事や水分を摂ったり、歯磨きによって改善します。また、健康な人でも発生する可能性があるため、何かの治療を受ける必要はないでしょう。
病的口臭
病的口臭は、歯周病や虫歯のようなお口の中の病気をはじめ、鼻やのどの病気、呼吸器系・消化器系の病気、糖尿病、肝臓病、便秘、尿毒症などが原因で起こる口臭です。
また、不衛生な入れ歯を使い続けている、舌が汚れているといった理由によって、お口の中のトラブルが発生した場合も、病的口臭の発生につながってしまいます。
ただし、口臭の原因の大半はお口の中の問題であるため、まず始めにお口の状態の確認がよいでしょう。口臭の原因を正確に把握するためにも、早めに歯科医院に足を運んで診察を受けることをおすすめします。
外因的口臭
外因的口臭とは、お口の中に発生した細菌以外の原因によって引き起こされる口臭のことです。具体的には、喫煙習慣があったり、ニンニク、ネギ、ニラなどの臭いが強い食品を好んでいたり、飲酒量が多かったりする場合、外因的口臭が生じやすくなります。
さらに、制吐剤や降圧剤のような薬の副作用として口臭が起こるケースもあるため、現在飲んでいる薬にも注意する必要があります。外因的口臭は食事など生活習慣を改善することで解決できるケースが多いため、口臭の中では比較的対処が容易です。
心因的口臭
心因的口臭がある人は、口臭がないにもかかわらず、口臭があると本人が思い込んでいます。患者さんが大きなストレスを感じ、精神的に不安定な状態にある場合など、心因的口臭に陥りやすい状態があります。
また、口臭に強迫観念を感じ、強迫神経症などの精神疾患がある場合も、心理的口臭が起こりやすくなります。歯科医の専門的なチェックを受けて口臭がないことを客観的に評価してもらったり、精神科等でカウンセリングを受けたりして、口臭に対する不安を取り除いてもらうことが主な対処法です。
自分でできる!歯周病のチェック方法
口臭は歯周病の主な症状の一つですが、歯周病による問題はさまざまです。歯周病の症状を把握し、チェックすれば、比較的早い段階で歯周病に気づけます。
チェック項目には、歯がグラグラする、歯茎に腫れや出血がある、歯茎から膿が出る、以前よりも歯が長くなった気がする(歯肉が退縮している)、口の中がねばねばする、硬いものが噛みにくくなった、歯と歯の隙間が大きくなった、などは歯周病の可能性を疑ったほうがいいかもしれません。
*自己診断はしないようにしましょう。
歯周病が原因の口臭の治し方
歯周病が原因の口臭を治すには、さまざまな方法があります。この項目では、歯周病の影響で引き起こされる口臭を解消するために効果的な5つの対処法を詳しく紹介します。
毎日ていねいに歯磨きをする
毎日丁寧に歯磨きを行うことは、歯周病対策の第一歩です。食後や就寝前のタイミングなど1日につき2~3回、斜め45度の角度で歯ブラシの先を歯肉と歯の間の溝に押し当て、歯肉を傷つけないように優しく丁寧なブラッシングを心がける事によって、歯垢の付着を予防し、歯周病の原因となる細菌の増殖を抑制できます。
歯間ブラシやフロスで歯垢を取り除く
歯と歯の隙間にある汚れは、歯ブラシだけでは除去できません。歯間ブラシやデンタルフロスを併用することによって、細かいスペースに位置する汚れを落とすことが可能になります。
歯と歯の間に食べかすや汚れが残ってしまうと口臭や歯周病の発生リスクが高まるため、フロスや歯間ブラシは大きな予防効果があります。
歯周病予防の歯磨き粉や洗口液を活用する
市販の歯磨き粉や洗口液の中には、歯周病原因菌の働きを抑制する薬効成分が含まれたものがあります。ブラッシングの際に使ったり、歯磨きを終えた後の仕上げに用いることによって、歯周病の発生リスクを軽減できるでしょう。
歯科医院で定期的に歯のクリーニングをしてもらう
歯周ポケットの内部にある歯垢や歯石は、患者さん自身によるセルフケアだけで対処できません。3カ月に1回程度、歯科医院に足を運び、専門的なクリーニングを受けることによって、歯や歯周ポケットの歯石や汚れを除去し、フッ素を塗布し、歯周病や虫歯の予防を図ることもできます。
歯周病の治療を受ける
歯周病が原因の口臭を改善するには、歯周病の治療が最も効果的です。治療によって、お口の中の歯周病原因菌を減らし、口臭の大きな要因となる揮発性硫黄化合物の発生を抑制します。早期発見・治療により、痛みを抑えることもできるため、なるべく早めに治療を受けましょう。
まとめ
歯周病による揮発性硫黄化合物の発生が原因で、口臭が出るケースは多いです。歯周病による口臭の特徴として、卵が腐ったような臭いや、野菜や魚が腐ったような臭いが挙げられ、これらの臭いを感じたら注意が必要です。
歯周病が原因の口臭には、毎日の歯磨きや歯科医院での定期的な歯のクリーニングが有効です。歯周病の治療に取り組みましょう。
自分の口臭が気になっていたり、周囲の人から口臭を指摘されているのであれば、医科・歯科に足を運んで診断してもらい、早めに治療を受けることをおすすめします。