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歯科 定期検診

歯科の定期検診では何をするの?おすすめの頻度や費用も紹介

監修者

古川 雄亮先生
古川 雄亮先生

国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

歯科医院での定期検診は、お口の中だけでなく、全身の状態を良好に保つことにつながります。今回、定期検診での5つの処置、定期検診に通うおすすめの頻度、定期検診を受ける5つのメリット、定期検診に必要な費用について紹介します。

この記事の要約

・歯科の定期検診では、問診、虫歯や歯茎のチェック、歯垢の染め出し、歯のクリーニング、フッ素の塗布といった処置が行われる。
・定期検診で虫歯や歯周病を予防でき、お口の中の異常に早く気づけ、全身疾患の悪化も未然に防ぎ、正しい歯磨き方法を身に着け、生涯医療費の節約にもつながる。
・定期検診は3カ月に1回程度のペースがよいとされ、保険適用の場合は2,500~5,000円程度が治療費の相場となる。

歯科の定期検診で行うこと

歯科医院で定期検診を受ける際、複数のステップでお口の中の状態を改善していきます。定期検診の具体的な処置は、以下5種類です。

①問診


定期検診では、患者さんの気になる部分を最初に聞き、全身疾患の有無、喫煙や歯磨きの頻度といった生活習慣、現在の服用薬、妊娠有無などが確認されます。

これらは虫歯や歯周病リスクに直結するため、治療前に把握が必要です。

②虫歯や歯茎のチェック


問診後、お口の中をチェックし、虫歯や磨き残しの有無と歯茎の状態を調べられます。奥歯や歯と歯の隙間は特に虫歯が発生しやすく見にくいため、歯科医師の目での確認が重要です。

また、磨き残しの多い箇所、歯と歯茎の間の隙間の深さや出血箇所、歯の動揺等も確認します。

③歯垢の染め出し


歯の汚れ(歯垢)を染める薬剤を使って、歯垢の付着部分を視認できるようにします。鏡を使って、染まっている歯の箇所を患者さんにも確認してもらいます。

色が染まっている部分はブラッシングの際に磨き残しが起こりやすいため、普段のセルフケアに関する質問や歯磨き指導を受けます。

④歯のクリーニング


染め出した部分(歯垢や歯石)をスケーラー、ブラシ、エアフローなどを使用し、除去していきます。もともとの歯の着色汚れも取り除くため、歯の自然な白さも出ます。

歯科医院の専門的なクリーニングを受けることによって、歯と歯の隙間や歯茎の溝といった、歯磨きでは除去しにくい部分の汚れも除去できる点は、歯科医院通院のメリットです。

⑤フッ素塗布


クリーニングで歯垢や歯石の除去が完了した後、フッ素塗布がされます。フッ素は歯を強くして虫歯の予防効果を持ちます。

歯科医院で使用されるフッ素濃度は市販の歯磨き粉等に含まれているものよりも高いため、虫歯予防効果も大きいです。

歯科の定期検診は年に1回ではダメ?おすすめの頻度は?

歯医者の定期検診の頻度を年に1度以上すると、磨き残しが蓄積し虫歯や歯周病の進行が早まる可能性が高くなります。歯周病は患者さん自身が痛みを感じないことが多く、発症に気付き難いです。

そのため、定期検診による早期発見・治療が非常に重要です。

厚生労働省が発表した「令和4年歯科疾患実態調査」においては、1年間で歯科検診を受けた人の割合は58.0%という結果が出ています。歯医者の定期検診を受ける頻度は一般的に3カ月に1回程度が良いとされていますが、虫歯や歯周病の危険性が高い人の場合は1~3
カ月に1回、危険性が低い人の場合は6カ月に1回程度が良いと考えられています。歯科検診を長い間受けていない人は、四半期ごとに歯科医院に足を運ぶことを検討しておきましょう。

参考:厚生労働省

歯科 定期検診

歯科で定期検診を受けるメリット

歯科医院での定期検診を受けることで、さまざまメリットがあります。この項目では、歯科医院での定期検診で得られる5つのメリットを詳しく解説します。

メリット①虫歯や歯周病を防ぎやすくなる


歯科医院で定期検診を受けることによって、虫歯や歯周病の発生や進行を予防できます。歯に付着する歯垢や歯石を歯磨きだけの除去は困難ですが、定期検診でお口の中の状態を確認し、専門的なクリーニングを受けることで、虫歯・歯周病の原因物質を綺麗に取り除けます。

加えて、フッ塗布で歯の強度が高まる点もポイントです。歯石が取れた後の歯は汚れが付きにくい状態となるため、虫歯や歯周病の発生リスクが軽減します。

メリット②口の中の異常を早く見つけられる


歯や歯茎に異常が起きても、定期検診を受ければ、早期発見・治療ができます。虫歯と歯周病は初期段階における自覚症状が乏しいため、患者さん自身で気づくことは非常に難しいです。

しかし、歯科医院で問診を受け、実際にお口の中の状態を確認してもらうことで、早く異常を発見することが可能です。症状の進行前に適切な治療ができる点も、定期検査のメリットです。

メリット③全身の病気の予防につながる


お口の中には、さまざまな種類の細菌が生息しています。歯周病の影響で歯茎に炎症が発生すると、細菌により発生される毒性の物質が歯茎にある血管から全身に行き渡り、糖尿病などの全身疾患が悪化する可能性があります。

定期検診でお口の中を清潔に保ち、細菌繁殖を減らすことができれば、虫歯や歯周病の予防ができ、細菌の毒素が身体中に行き渡ることを食い止め、全身疾患の発病や悪化を避けることに繋がります。

メリット④正しい歯磨きのやり方を身に付けられる


定期検診では、クリーニングだけでなく、日々のセルフケアに役立つ歯磨き指導も受けられます。正しいブラッシング方法や、個々の患者さんが適切な歯ブラシの選び方を理解することで、定期検診後の日常生活で、虫歯や歯周病が発生する可能性を低下させます。

また、定期検診で歯垢の染め出しをされた場合、歯磨きの際に患者さんの磨き残し箇所が可視化されます。磨き残し箇所を意識し歯磨きに取り組むことによって、歯磨きの質が大きく向上します。

メリット⑤生涯医療費を抑えられる


定期検診には当然治療費がかかりますが、お口の中で起こるトラブルを予防できます。

実際、虫歯や歯周病が発生していることに気づかないまま重症化すると、初期段階で治療介入した場合に比べて治療期間が長引き、治療費も高額になります。

さらに、細菌毒素が全身に行き渡ると、糖尿病、脳梗塞、心臓疾患といった、命にかかわる病気の発病や悪化の可能性があるため、治療費が沢山かかるかもしれません。定期検診で重症化する前に対処することは、結果的に生涯にかかる医療費を安く済ませることにもつながるかもしれません。

歯科での定期検診にかかる費用

歯科医院での定期検診にかかる費用は、保険適用の場合と自費治療の場合で異なります。2020年4月に診療報酬の改定が行われた以降、定期検診や歯のメンテナンスを目的とした治療も、「病気を治すために必要な治療費」として医療保険が適用されています。

ただし、公的医療保険が適用されるのは厚生労働省が認める治療に限られており、それ以外は自費治療になることに注意が必要です。治療費の目安としては、公的医療保険が適用される場合は1回あたり2,500〜5,000円、自費治療では6,000〜10,000円程度です。


株式会社メディカルネット調べ

まとめ

歯科の定期検診においては、問診、虫歯や歯茎のチェック、歯垢の染め出し、歯のクリーニング、フッ素の塗布といった処置が行われます。定期検診を受けることによって、虫歯や歯周病を予防しやすくなり、お口の中の異常を早く認識し、全身の病気の予防にもつながります。

定期検診を受ける頻度が年に1回程度となっている場合は、虫歯や歯周病が知らないうちに進行してしまう恐れがあるため、歯科医院への通院間隔を空けすぎないように注意する必要があります。3カ月に1回程度のペースを目安とし、定期的に歯科医院に足を運びましょう。

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