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歯医者さんのクリーニングで使用される器具5選|治療の流れは?

監修者

古川 雄亮先生
古川 雄亮先生

国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

「歯の汚れが気になってきたので、歯医者でクリーニングを受けることを検討している。歯医者でクリーニングを受けるのは初めてだけど、いったいどんな器具が使われているの?」そんな疑問をお持ちの方も多いです。

歯医者におけるクリーニングではさまざまな器具が用いられており、患者さんの状態に応じて適切に使い分けられます。

今回、歯医者のクリーニングで主に使われる5つの器具、クリーニングの4つのステップ、よくある2つの質問を紹介します。

この記事の要約

・歯医者のクリーニングで使用される主な器具としては、超音波スケーラー、エアースケーラー、手用スケーラー、プローブ、コントラアングルハンドピースの5種類がある。
・歯医者のクリーニングでは初めに検査を受け、歯石・歯垢の除去後に歯面の清掃と研磨をして、最後にブラッシング指導がある。
・市販の器具を使って自分で歯石を取ろうとするのは非常に危険なので、歯科医院で安全に除去してもらったほうがいい。

歯医者さんのクリーニングで使用される器具5選

歯科医院でのクリーニングには、さまざまな種類の器具が使われます。この項目では、患者さんの状態に応じて使い分けられる5つの器具を詳しく紹介します。

超音波スケーラー


超音波スケーラーは、超音波による振動を利用して歯石を除去する器具です。超音波振動は手用器具に比べてパワーが強く、効果が広範囲のため、多くの歯石が付着している場合も短時間で治療でき、歯周ポケットのような歯ブラシでは届かない場所の歯石を効率的に取り除けます。

ただし、パワーによって患者さんが痛みを感じ、振動や発生音が不快感につながるケースもあります。また、心臓ペースメーカーを装着している患者さんには、使用自体が禁忌の点も重要です。

エアースケーラー


エアースケーラーは、エアタービンによって発生する圧搾空気で振動させて、歯石除去をする器具です。超音波スケーラーよりも振動回数が少ないため、使用時の患者さんへの負担を小さく抑えられる点が特徴です。

一方、振動回数が少ないため、超音波スケーラーよりも治療効率は低下します。治療期間も長くなることもあります。

手用スケーラー


手用スケーラーは、手動で用いられるスケーラーです。歯石を除去する際に使われる主な2つのスケーラーを紹介します。

シックルスケーラー
シックルスケーラーは刃の部分が鎌(かま)状で、歯石除去でポピュラーな器具です。歯肉の上に位置する歯石を取る際に効果を発揮し、前歯や臼歯の隣接面や裏側の歯石除去に有効です。また、刃の形状や長さが異なるタイプもあるため、用途で使い分けられる点がポイントです。

キュレットスケーラー
キュレットスケーラーは刃先がスプーン状の器具で、刃の先端と背面が丸く処理してあるため、歯肉を傷つけにくい点が特徴です。そのため、「歯周ポケット」と呼ばれる、歯と歯肉の間にできる空間の歯石除去に、うってつけの器具です。また、歯肉の縁にある歯石除去や歯根面の滑沢化にも向きます。

プローブ


プローブは、歯周組織の状態を診査する際に使用される器具です。先端部分に目盛りが付いており、歯周ポケットの深さを測れます。深さの測定によって、歯周病の進行度、歯を支える骨である歯槽骨の形態、炎症部位、歯肉の退縮度合いなどを確認できます。

コントラアングルハンドピース


コントラアングルハンドピースは、歯石を取る時に傷ついた歯面を研磨するために用いるエンジンです。器具にブラシやカップを装着し回転させて歯面を滑らかにし、汚れや着色を落とします。加えて、歯石や歯垢の沈着の予防効果もあるため、歯石除去後の仕上げ磨きにおいて大きな効果を発揮します。

歯医者さんでのクリーニングの流れ【4STEP】

歯医者さんでクリーニングを受ける際、すぐに歯石を取り除くのではなく、段階を踏んで治療を進めていく必要があります。治療の流れとして、以下の4つのステップが踏まれます。

①検査


超音波スケーラーやエアスケーラーは使用時に水を用いるため、知覚過敏が強い患者さんなどによっては使用できない可能性があります。歯石を取る前に、お口や全身状態の検査が必要です。

問診後、お口の中の写真やレントゲンを撮影し、お口の中の状態を確認します。歯周ポケットの深さや出血の有無、歯の揺れの大きさなども調べ、炎症箇所や歯周病の進行度が把握され、患者さんに適した治療方針が決まります。

②歯石・歯垢除去


検査で患者さんの状態が把握されたら、次は歯石除去です。歯石の付着位置や、歯石の状態などに応じて使用するスケーラーの種類が変わりますが、基本的に歯の上に付着している歯石を先に除去し、続いて歯周ポケット内部の歯石を取り除きます。

治療回数や期間は患者さんの状態によってさまざまで、付着している歯石の量、歯周病の進行度などで変わります。

適切なセルフケアを行うことで治療回数と期間を減らせるため、毎日のブラッシングは重要です。

③歯面清掃・研磨


歯石除去が完了したら「PMTC」と呼ばれる専門的な歯面の清掃・研磨が行われます。歯石除去後も残っている細かい歯石や歯垢を取り除き、歯の着色も除去されます。

その後、歯石除去で傷ついた歯面を滑らかにし、歯石の再度の付着を予防します。

歯面の清掃と研磨によって歯が滑らかになるだけでなく、着色も落ちることで審美面もプラスになります。加えて、清掃・研磨後はお口の中の爽快感が得られます。

④ホームケア指導


歯石を取った後、歯面の清掃と研磨も終了したら、患者さんが自宅で行うセルフケアの質を向上させるために、歯科医や歯科衛生士によってブラッシングの指導が行われます。患者さんに合った歯ブラシの選定、日々の歯磨きにおける歯ブラシの正しい角度、歯と歯の間にある汚れを落とす効果的な歯間ブラシやフロスの使い方等がレクチャーされます。

歯石を取り除いた直後の綺麗な歯の状態を維持するためには、患者さん自身による日々のブラッシングが重要です。歯科医院で教えてもらったブラッシングのコツや、器具の使い方などを念頭に置き、歯周病や虫歯が進行しないようにしていきましょう。

歯医者さんのクリーニングに関するよくある質問

歯医者でのクリーニングは専門的な部分も多いため、治療に患者さんが疑問を抱くこともあるでしょう。この項目では、特に質問されることが多い2つの疑問点を詳しく紹介します。

歯石は自分で取っても問題ない?


歯石を自分の目で確認できても、歯石を自分で取ろうとするのはやめましょう。なぜなら、歯石は歯に強い力で付着し、歯ブラシなどで除去するのは難しいだけでなく、無理矢理取ろうとすると歯や歯茎を傷つけ、その傷によって以前よりも歯石が付着しやすくなる可能性もあるからです。

近年、「自宅で歯石が取れる」といった表現が用いられた市販のスケーラーもありますが、専門知識がないのに歯石を取ろうとするのは非常に危険です。

歯茎を傷つけ出血する可能性もあるため、歯科医院で専門性の高い治療を受けることをおすすめします。

歯医者さんでクリーニングを2回に分ける理由は何?


歯石除去は、1-2回に分けて行われることが多いです。1回で全ての歯石を取り除こうとすると、いろんな箇所に出血や痛みが生じることがあるからです。

歯科医院の時間的な制約もあります。1回の治療で歯石を除去できる歯の本数が多いと時間がかかるためです。1回目の治療で歯石が多い箇所を優先して除去し、2回目の治療で残りの歯石を取り除くことによって、患者への負担を軽減できます。

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まとめ

歯医者のクリーニングで使用される主な器具に、超音波スケーラー、手用スケーラー、プローブなどがあります。クリーニングの大まかな流れとして、歯茎の検査、歯石・歯垢の除去、歯面の清掃・研磨、歯磨き指導という順番での処置が一般的です。

定期的に歯科医院でクリーニングを受けることによって、虫歯や歯周病を予防でき、審美面でもプラスになります。歯石の付着が気になる方はぜひ歯科医院に足を運び、専門的なクリーニングの受診を検討してはいかがでしょうか。

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