もうすぐバレンタインのシーズンですね。この時期はチョコレートやケーキなどの甘い誘惑が増えるシーズン。甘い物を思いっきり楽しみたい一方で、デンタルケアに敏感な方にとっては虫歯のことが気掛かりな時期なのではないでしょうか。今回はチョコレートを代表とした「甘い物」と虫歯の関係についてご紹介します。甘い物はなぜ虫歯になりやすいのか。虫歯を心配されている方にとっても、お子さまのおやつ選びのヒントにも、知っていただきたい内容となっています。
まずは、虫歯の原因と発生のメカニズムについて理解しよう!
皆さんの中には虫歯が出来やすくてお困りの方や、大切なお子さんには虫歯を作らせないよう日々気をつけている方も多いのではないでしょうか。十分に気をつけていても、自分では気がつかないうちに忍び寄る虫歯。では、虫歯はどのように発生するのか、以下にて理解を深めてみましょう。
ズバリ、虫歯を発生させる要素とは?
まずは、虫歯の原因を掘り下げて考えてみましょう。虫歯は「歯質」「糖質」「細菌の数」という、3つの要素が重なることで発生します。逆に言うと、3つの要素が揃わない限り虫歯は発生しません。
虫歯はご自身でセルフコントロールが可能な疾患です。虫歯予防のために以下3つのポイントを抑えておきましょう。
1. 歯質
歯質とは、エナメル質、象牙質、セメント質などの「歯」を作っている成分のことです。歯質を強化し、虫歯に負けない歯を作るには歯医者さんで定期的にフッ素を塗布してもらうことが効果的。毎日の歯みがきにフッ素配合の歯みがき粉を取り入れることもおすすめです。
2. 糖質
糖質とは、主にお砂糖のことです。細菌のエサとなり、プラーク(歯垢)を作りだす手助けをします。甘いスイーツだけでなく、お米やパンなどの炭水化物も糖質に含まれます。
3. 細菌の数
虫歯菌の代表格なのが「ミュータンス菌」とよばれる細菌です。細菌の数は人それぞれ異なりますが、細菌の数が多ければ多いほど虫歯を発症するリスクが高くなります。歯みがきや生活習慣の改善で細菌の数を減らし、細菌の活動を抑えることも可能です。
虫歯はこのように作られていく!虫歯発生のメカニズム
虫歯とは酸によって歯が溶かされるお口の中の病気のこと。歯の表面は「エナメル質」という硬い組織で覆われていますが、歯の表面にプラーク(歯垢)が付着したままでいると、虫歯菌が発する「酸」によってエナメル質が溶かされ、歯の表面に穴が空いてしまいます。最初は小さな穴でも次第に虫歯の範囲が広がり、やがて虫歯が歯の神経まで達するとズキズキとした痛みを伴いながら拡大していくというわけなのです。
「歯を磨かないと虫歯になるよ!!」というのは、虫歯菌が吐き出す「酸」で歯が溶けてしまうという事だったのですね。
歯を磨かないで寝ちゃったら、お口の中はどうなる?
上記にて、虫歯の発生には3つの要素が関係することをお分かりいただけたかと思います。しかし、これらが揃うとすぐに虫歯が発生するわけではありません。そのほかにも、虫歯の発生には気をつけるべきポイントがあるのです。
POINT.1 プラーク(歯垢)が付着している時間
虫歯の発生は「歯質」「糖質」「細菌」の3大要素のほか、プラークが付着している時間も関係します。つまり、プラークが付着している時間が長いほど、細菌に酸を放出する時間を与えてしまうということ。また、一日に何度も間食をしたり、いつまでもダラダラと食事を続けたりすることも、虫歯になりやすい要素です。「時間」も虫歯の発生のカギとなることを覚えておきましょう。
POINT.2 唾液の質や量
唾液の質や量も虫歯の発生に大いに関わります。日中の活動時は唾液や水分によって、ある程度の食べカスは自然と流れてくれます。また、唾液には抗菌作用や再石灰化を促進させる作用があり「天然の抗菌剤」として虫歯の発生を抑えてくれる一面もあるのです。
では、歯を磨かないで寝てしまうとお口の中はどうなるのでしょうか。就寝中は唾液の量が激減し、汚れが停滞しやすい状態に。日中の活動時と比べて唾液の量が少なくなっているので、歯垢が流れないばかりか唾液の抗菌作用の恩恵を受けられません。そのため、お口の中は歯の表面に歯垢がべっとりついたまま。これでは虫歯が進行してしまうのも頷けます。だから就寝前の歯みがきが大切なのですね。
チョコレートは虫歯菌のエサになる?そのわけとは
ここで注目したいのが虫歯の要因の一つである「糖質」についてです。糖質とは主にお砂糖のことです。砂糖は細菌のエサとなり、プラーク(歯垢)を作り出すガソリンのようなもの。細菌は「お砂糖」というガソリンを得ると、スピードを上げてプラークを量産します。そして、プラークはネバネバした物体のため歯の表面にベットリと留まり、うがいだけでは剝がれ落ちないのです。
甘い物にはふんだんに砂糖が使われていますよね。砂糖をたっぷり含んだおやつは細菌のエサの宝庫。チョコレートは砂糖をたくさん含んでいるだけでなく、ベタベタと歯の表面に付着しやすく、お口の中に残りやすいことはご想像の通りです。
その他の虫歯になりやすいおやつとは?お子さまのおやつ選びのヒント
「虫歯になりやすいおやつ」はチョコレートだけではありません。特にキャラメルは粘着性が高く、糖分が歯の表面に張り付きます。食べ終わるまでに時間が掛かるうえ、糖分がお口の中に残りやすい「虫歯リスクが高いおやつ」の代表格なのです。そのほかキャンディーやチューイングガムなども虫歯リスク高なおやつ。また、見落としがちなのはジュースやスポーツ飲料水。日常的にのど飴を舐める習慣がある方も注意が必要です。
一方で、おせんべいやクラッカー、スナック菓子などはお砂糖がほとんど含まれていないので、虫歯リスクは低め。ただし、これらはカロリーや塩分が高めなので食べ過ぎに注意したいところですね。また、アイスクリームは口どけがよいのでお口の中に糖類が残りにくく、比較的虫歯になりにくいといわれています。
まとめ
「おやつの時間」は幸せな気持ちになれるハッピータイム。チョコレートをはじめとした甘いおやつは気分転換ができたり、脳を活性化させて集中力を高めたり、ストレス解消やリラックス効果にも期待できます。また、チョコレートに含まれるカカオポリフェノールは活性酸素を抑える抗酸化物質が含まれており、最近の研究結果では動脈硬化のリスクを下げることが分かってきました。糖分は気持ちをハッピーにさせるだけでなく、身体や脳にとっても大切な栄養分。上手に摂取していきましょう。
甘い物を食べた後にきちんと歯みがきができればベストですが、なかなかそうは難しいですよね。その際は就寝前の歯みがきを徹底するなどの工夫が必要です。また、「虫歯はイヤ!でも甘い物が食べたい!」という方は、糖分が含まれていないシュガーレスのキャンディーやお砂糖ゼロのおやつなどを取り入れるのもひとつの手です。甘い物を楽しみながら、上手に虫歯をコントロールしていきましょう。ご自身の虫歯予防対策に、そしてお子さまのおやつ選びのポイントにも、今回ご紹介した記事を虫歯予防の参考になさって下さいね!