この記事の要約
・歯医者専用のキシリトールガムはキシリトールが100%配合が多く、虫歯の原因となる酸が作られにくいなどのメリットがあります。
・市販品はキシリトール以外の甘味料が含まれている場合があり、歯医者専用のものほどの虫歯予防効果は期待できないかもしれません。
・ガムを噛んでお顔の筋肉を鍛えることで、オーラルフレイルの予防やフェイスラインの引き締めなどの効果も期待できます。
目次
年齢を重ねるにつれて、歯の健康を考えるようになりますよね。こうしたなか、「歯医者専用のキシリトールガム」があるという情報を聞き、「コンビニなどで売られている通常のガムと何が違うの?」と興味を持った方も多いと思います。歯医者専用のキシリトールガムを噛むと虫歯になりにくいという話もありますが、本当なのでしょうか。
この記事では、歯医者でのみ取り扱っているキシリトールガムの特徴について詳しく解説します。
・歯医者専用のキシリトールガムはキシリトールが100%配合が多く、虫歯の原因となる酸が作られにくいなどのメリットがあります。
・市販品はキシリトール以外の甘味料が含まれている場合があり、歯医者専用のものほどの虫歯予防効果は期待できないかもしれません。
・ガムを噛んでお顔の筋肉を鍛えることで、オーラルフレイルの予防やフェイスラインの引き締めなどの効果も期待できます。
キシリトールは、糖アルコールの一種です。さまざまな果実や野菜にも微量のキシリトールが含まれています。キシリトールは、白樺や樫の木を原料として人工的に作られたものです。砂糖と同じ甘さを持つこと、そして溶ける時に熱を奪うため清涼感を得られる点がキシリトールの特徴です。
歯医者専用のキシリトールガムには、市販のガムとは異なる以下のような特徴があります。
食後の口腔内は酸性に傾いており、歯を覆うエナメル質からカルシウムやリン酸が溶け出す脱灰という現象が起こります。この状態で歯磨きをすると、歯質が摩耗するので注意が必要です。キシリトールガムを噛むことで、唾液中のpHを上昇させることができるため、食後歯磨きをする前にガムを噛むのも良いでしょう。
1日3-5回、1回あたり2粒のキシリトールガムを5分以上噛むようにしましょう。これを3ヵ月継続すると、口腔内の虫歯菌が減少し、歯に歯垢が付着しにくい状態をつくることも可能とされています。
ガムは一度に30〜40gなど多量を摂取すると下痢や腹痛が起こる場合があるため、食べ過ぎには注意してください。
参考:日本舌側矯正歯科学会
ガムを噛む行為には、以下のようなメリットもあります。
歯医者専用のキシリトールガムは、虫歯の原因となる酸が作られにくいなどのメリットがあり、虫歯の発生や進行を防ぐ効果が期待できます。
コンビニなどで売られているキシリトールガムは、キシリトール以外の甘味料が入っていることもあり、十分な虫歯予防効果が期待できないかもしれません。一方で、歯科専用のものはキシリトール100%配合のため、安心して摂取できるのです。
また、ガムを噛むことで、オーラルフレイルの予防やフェイスラインの引き締め効果なども期待できます。歯医者専用のキシリトールガムを健康づくりに役立ててみるのも良さそうですね。
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開