「電動歯ブラシを検討しているが、色々あってどれにしたらいいかわからない。電動歯ブラシを選ぶときのポイントは何なの?」 そんな悩みをお持ちの方はいませんか。
電動歯ブラシはさまざまで、メリット・デメリットもそれぞれ異なります。今回、電動歯ブラシを選ぶ際の5つのポイント、電動歯ブラシの効果と正しい使い方、電動歯ブラシに関するよくある2つの質問について、詳しく解説します。
この記事の要約
・電動歯ブラシを選ぶ際、駆動方式、電源方式、ヘッドの形と大きさ、グリップの太さ、付属機能の5つがポイント
・2024年現在は100円ショップで電動歯ブラシは取り扱いなし
・電動歯ブラシと普通のブラシは同程度の効果があるが、電動歯ブラシの性能を引き出すためには、正しい使い方を学ぶことも重要である
電動歯ブラシの選び方
電動歯ブラシには様々な機能があり、どの電動歯ブラシが自分に最適かは大きく異なります。この項目では、電動歯ブラシを選ぶ際の5つのポイントを紹介します。
駆動方式で選ぶ
電力で動く点が電動歯ブラシの大きな特徴ですが、電動歯ブラシの動きは駆動方式によって異なります。主な電動歯ブラシの駆動方式は、大きくわけて4種類あります。
回転式
回転式の電動歯ブラシは、円形のヘッドが回転することによって汚れを落とします。ヘッドの形が丸く、コンパクトであることも特徴で、奥歯であっても磨きやすいため、歯を1本ずつ丁寧に磨けます。ブラシの回転によって磨く感覚を実感でき、手で歯を磨く感覚が良い人におすすめです。
振動式
振動式の電動歯ブラシは、モーターでブラシが細かく振動し汚れが落ちる方式です。回転式よりも歯に与える刺激が小さい点が特徴です。手で磨く際に歯と歯肉の隙間のような細かい箇所の難しい汚れも取り除くことができます。基本的にサイズが小さく、持ち運びに適しているのもポイントです。
音波式
音波式の電動歯ブラシは、200〜300Hzの音波振動で歯垢を浮かせて除去します。振動で発生する水流と、小さな泡が弾ける衝撃で、普通のブラシでは毛先が届かないような深い部分の歯垢を取り除くことができます。ブラシ自体が高速で動くため、歯や歯肉に与える刺激が小さく、手をあまり動かさずに磨くことが可能です。
超音波式
超音波式の電動歯ブラシは、160万〜200万Hzに達する超高速の振動で汚れを落とします。振動が非常に細かいため、虫歯の原因となるバイオフィルムを除去しやすいです。ブラシが高速で動くため、お口の中に与える刺激も小さいですが、毛先はほとんど動かないので、汚れを落とすにはある程度手を動かす必要があります。
電源方式で選ぶ
電動歯ブラシを動かすためには電力が必要です。電動歯ブラシを動かす電源方式は以下の2種類です。
充電式
充電式の電動歯ブラシは、充電器にセットしてバッテリーを繰り返し使えます。乾電池式の電動歯ブラシに比べて振動数が多い点も特徴です。内臓バッテリーが劣化したら本体ごと買い替える必要があること、乾電池式に比べてサイズが大きく重さも大きくなる点がデメリットです。
乾電池式
乾電池式の電動歯ブラシは、コンパクトなタイプが多いため、持ち運びがしやすく、置き場所に困りません。電池が切れたとしても本体を買い替える必要がないことも強みです。製品によっては充電式の電動歯ブラシに比べて振動数が少なく、パワー不足だと感じます。
ヘッドの形と大きさで選ぶ
電動歯ブラシが持つヘッドの大きさは、製造するメーカーやモデルで異なります。ヘッドの大きい歯ブラシは広範囲を磨くことが可能ですが、奥歯などの細かい部分にブラシヘッドが届きにくく、磨き残しが発生しやすくなります。一方、ヘッドが小さい歯ブラシは細かい部分や奥歯を磨くのに適していますが、歯磨きに時間がかかりやすくなります。
ヘッドの大きさによる特徴を把握したうえで、できる限り自分の口の大きさや歯並びに合うものを選ぶのも、電動歯ブラシを購入する際に大切です。
グリップの太さで選ぶ
電動歯ブラシは通常の歯ブラシより重量があり、グリップも太くなります。自分に合わない太さのグリップを持つ電動歯ブラシを選んでしまうと、歯を磨く際に腕が疲れやすくなります。
自分の手の大きさに合ったグリップの太さは変わってきます。具体的には、手が大きい人にはグリップの部分が9cm以上のものが適しており、手が小さい人や歯を磨く時に歯ブラシをペンのように握る人の場合は9cm以下のものを選ぶと負担が少なくなるでしょう。
付属機能で選ぶ
近年の電動歯ブラシには、歯を磨くこと以外にもさまざまな付属機能が追加されています。水回りで使う「防水機能」、磨き残しや磨きのムラを検知する「スマートフォン連携機能」、磨く目的に応じた動きになる「モード切り替え機能」があります。
子供用の電動歯ブラシの中には、スマートフォンと連携でゲーム感覚で歯磨きでき、キャラクターが歯の磨き方を教えてくれる機能を実装しています。
電動歯ブラシは100均でも買える?
ダイソー、セリア、キャンドゥといった大手の100円ショップであっても、2024年現在は電動歯ブラシを取り扱っていないです。数年前まではダイソーが300円や500円のモデルを販売していましたが、現時点で後継の商品は販売されていません。
気になる方は、定期的に足を運ぶと出会えるかもしれませんね。
歯ブラシホルダー、歯ブラシスタンドのように歯ブラシを保管できるアイテムなどは現在も100円ショップにて購入が可能です。
電動歯ブラシはどのくらい効果があるの?
電動歯ブラシのブラッシング効果を示すデータとして、電動歯ブラシと手で磨く歯磨きの清掃効果が同程度であるとの報告があります。電動歯ブラシを使用する場合、手で歯磨きを行う時と同じように、ブラッシングの指導を受けたうえで、ブラシの正しい使い方を覚えることが重要です。
実際のデータとしては、8週間の実験期間中に、2週に1回ブラッシング指導によって、プラークの付着率が改善されたとの報告があります。適切な歯ブラシの使用法を学ぶことが歯ブラシの性能をより引き出すことを意識しましょう。
電動歯ブラシの正しい使い方
一般的な歯ブラシと同じく、電動歯ブラシを使う際にも正しい使用法を理解することが重要です。紹介する2つのポイントを意識することによって、電動歯ブラシを使ったブラッシングの効果をさらに高めることが可能になります。
歯への当て方
電動歯ブラシを歯に当てる際には、歯面に90度の角度がよいでしょう。歯に対し振動が均等に伝わるようになり、磨き残しを防止することにつなげることができます。
歯と歯肉の間(歯周ポケット)を磨きたい場合、斜め45度でブラシを当てるとよいと考えられています。いずれの場合もブラシを強く押し付けすぎることなく、歯や歯肉にやさしく当てて磨くようにしましょう。
歯の磨き方
ブラッシングの前に歯を磨く順序を決めることによって、歯磨きの効率化を測れます。歯の表側、歯の上部、歯の裏側という順番に磨き、それぞれ30秒程度かけて磨くなどです。
その際に、歯と歯の間、下の歯の裏側、歯と歯肉の間、奥歯の奥の歯面といった磨き残しが発生しやすい部分は、丁寧に磨くことを意識しましょう。また、利き手の側にある歯は磨き残しが多くなりがちな点も、頭に入れて磨きましょう。
電動歯ブラシについてよくある質問
電動歯ブラシは通常の歯ブラシと異なる特徴を持つため、使用前後に疑問が浮かぶことでしょう。電動歯ブラシに関する2つの質問と、回答を紹介します。
電動歯ブラシがダメな理由は何?
電動歯ブラシは高速で振動することが特徴であるため、研磨剤が含まれた歯磨き粉を使用すると、歯の表面が摩耗してしまい、知覚過敏を引き起こすことがあります。また、一般的な歯磨き粉を使った場合も泡だらけになるため、泡立ちにくいジェルタイプの歯磨き粉を使うか、最初から歯磨き粉を使わない選択をする必要があります。
電動歯ブラシの欠点は?
電動歯ブラシの主な欠点は、振動の刺激が強すぎる場合に歯や歯肉を痛める可能性がある点や、少し磨いただけで綺麗にできたと勘違いしやすい点です。普通の歯ブラシに比べて重い、動かすための電力源が必要になる、価格が高いといった点にも注意が必要です。
まとめ
電動歯ブラシを選ぶ際には、駆動方式、電源方式、ヘッドの形と大きさ、グリップの太さ、付属機能の5つがポイントになります。電動歯ブラシの効果を最大限に引き出すためには正しい使い方を覚えることが必要です。
電動歯ブラシは通常の歯ブラシに比べて高額になるため、自分に合った製品を見つけることが重要です。どの電動歯ブラシを使うべきか悩んだ場合は、歯科医院に相談し、プロの視点から判断してもらう選択肢もあることを頭に入れておくといいかもしれません。
記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開