6月中旬、千葉県の山武市立大平小学校の「親子歯みがき教室」を取材させていただきました。歯科衛生士の高井さんによる「虫歯ができるまで」「乳歯と永久歯の生え変わり」についてのお話と、それを真剣な表情で聞き入る児童たちの様子をレポートします!
親子歯みがき教室
まずは、虫歯のお話からスタートです!
「みなさん、こんにちは!歯科衛生士の高井です」
みんなが毎日楽しく過ごすには、何かを食べたり、飲み物を飲むことだと思いますが、身体のエネルギーを作るご飯をエサにして、虫歯を作る原因のミュータンス菌というのが口の中に住んでいると歯に穴があいて虫歯ができてしまいます。
ミュータンス菌は甘いものが大好物です。上手に歯みがきをすることによって、ミュータンス菌はいなくなるので、しっかり歯みがきしましょうね、と高井さんからアドバイスがありました。
歯ブラシを使わなくてできること、それはよく噛むこと。
よく噛んで、何か食べると唾液と言って、つばがたくさん出ます。つばがミュータンス菌をやっつけて洗い流してくれるので、何か食べたら一口30回はよく噛みましょう。
「みんなは大人の歯と子どもの歯がまざっていますか?」
「子どもの歯を乳歯と言います。乳歯は、上の歯と下の歯合わせて何本ありますか?」高井さんが質問をすると、元気よく手を挙げて答える子供たち。
正解は、「20本」と答える高井さん。
子どもの歯から、大人の歯に完全に生え変わるのは、小学校の高学年頃、ゆっくり生え変わっていきます。子どもの歯が20本に対して、大人の歯は、親知らずを入れて32本。親知らずは大人になってから生えてきます。
次に、乳歯と永久歯の色についてお話されました。
「乳歯も永久歯もなんで白っぽく見えるか知ってますか?」と高井さんが子供たちに問いかけました。
外側を半透明のエナメル質と言います。内側は象牙質と言って、エナメル質よりも半透明でミルク色のものがあるんですね、そのミルク色が半透明に透けて見えて、実は歯の色になっているんですよ、と説明されました。外側のエナメル質が見えているわけではなくて、エナメル質はすりガラスのようなイメージです。その中の象牙質のミルク色が見えて今の色になります。
虫歯になるとそのエナメル質が、どんどん溶けて穴があいてしまいます。穴があくということは、エナメル質が溶けて象牙質がとけて、痛くなってきます。大きく虫歯になると、神経が死んでしまいます。お父さん、お母さんはお子さんの歯をよく観察してあげてください、と保護者の方へアドバイスされました。
▲第一大臼歯(イメージ)
一番奥に生えてきているのが、お口の中で一番大きい歯の王様と言われている「第一大臼歯」。六歳臼歯とも言い、強く噛む力をもっている歯です。隣の歯と背の高さがそろうのに、約1年かかります。
この「第一大臼歯」を中心に大人の歯並びが決まってくるといわれています。早めに虫歯にしてしまうと歯並びが悪くなったり、風貌や顔つきが変わってきたりバランスが悪くなることもあるとお話されました。
CHECK!
【歯ブラシの交換時期について】
パサパサに広がった歯ブラシでは、歯茎を傷つけたりきちんと磨けなかったり、正しいブラッシングができません。毛先はまっすぐきれいな状態を心がけるようにしましょう。広がった歯ブラシを使い続けないよう、1ヶ月に1回は交換するのも方法です。
みんなは今もしかしたら、まだお肉がかぶっていてちょこっとしか出ていないかもしれないですね。そこは、強くみがかないでくださいね。高さが違うところをみがくと、歯ブラシがあたらないですよね。
歯ブラシの毛先があたらないから、ほっぺたの方から歯ブラシをあてたり工夫して横からみがいたりしてくださいね。乱暴にみがくと傷つけてしまうこともあるので、やさしく、やさしくみがきましょう。と高井さんのアドバイスに、子供たち、保護者は大きくうなずかれていました。
実習:染め出しを行いました!
染め出し液を歯に塗ると、歯垢(プラーク)が赤く染色します。手順は、赤い染め出し材のついた綿棒を、歯に塗り、1回だけぶくぶくうがいをします。歯みがきが行き届いていないところや、みがき残しているところが赤く染まるのが分かります。子ども達は、鏡を見ながら左の歯のイラストのプリントに、赤鉛筆で色を塗りました。特に歯と歯の間などは、虫歯になりやすいので注意が必要です。
【ブラッシング指導】
歯ブラシは、鉛筆を持つように持ちます。歯みがきの順番は、外側の右側、外側の左側、内側の左側、内側の右側で、お口の中を一筆書きする要領で、順番を決めてみがくと良いでしょう。
保護者からのQ&A
前歯の歯茎の筋が太くて困っています。
永久歯が生えそろった時に、その筋が邪魔をしてしまい、歯が真ん中に寄っていかず“すきっ歯”になってしまうことがあります。もちろん、永久歯に生え変わってきちんと寄っていくこともありますが、中には何らかの形でその筋を切って処置が必要となる場合もありますので、定期的に検診を受けるようにしましょう。
乳歯と永久歯が重なっていますが、そのままにしていて大丈夫ですか?
永久歯の生え変わりの時期に乳歯と永久歯が重なってしまうことはよくあります。重なった部分をよく噛ませてあげることで乳歯の歯の根の吸収が促され、どんどん根が減っていき、自然にポロッと抜ける可能性があります。
山武市立大平小学校の教頭先生より
▲山武市立大平小学校
鵜澤教頭先生
「親子歯みがき教室」は、家庭教育学級の一つです。親御さんに歯の大切さを分かってもらいたいと思ったのをきっかけに始めました。今回も、保護者の参加率が100%と、子どもの歯に対する意識が非常に高く、いつも協力的で大変嬉しく思います。大平小学校は、普段から虫歯予防に力を入れています。4月の健康診断で、市内19校の中でも高い虫歯治癒率となりました。虫歯や噛み合わせが悪いと歯の発達や学力にも影響を与えることから、子ども達には、小学校1年生から、毎日、給食後の歯みがき指導を行っています。各学級に歯みがきのCDを配布して、歯みがきタイムに流しています。歯みがきの順番が約3分半流れ、その間、子ども達は、集中してみがいています。これからも子ども達に歯の大切さを学んでもらいたいと思っています。
▲歯科衛生士の高井さん
〜歯科衛生士の高井さんより〜
大平小学校の「親子歯みがき教室」は今年で3年目になります。永久歯の生え変わり時期は、兄弟であってもその子ども一人ひとり異なります。全ての歯が永久歯に生え変わるまでは、保護者の方がチェックしてあげてほしいです。歯は財産として残すことができるプレゼントというもの。顔見知りの先生を見つけるためにも、歯医者さんで定期健診を受けてくださいね。
最後に、株式会社サンギさんから、おみやげの歯みがき剤、子ども用の「アパガードアパキッズ」と保護者向け「アパガードMプラス」、「歯のふしぎ」の冊子が配られました。