乳歯が生えそろうのはいつ頃?
乳歯は一般的に生後5、6ヶ月頃から生え始め、1歳半頃には『乳臼歯』と呼ばれる奥歯が生えてきます。全ての乳歯が生えそろうのは、3歳頃です。
乳臼歯が生えてくる1歳半頃は、離乳食を完了する時期でもあり、自分で食べることや噛んで『ゴックン』するといった、基本的な『噛む』という習慣が身についてきます。
その後は、手づかみ食べから食器やお箸、スプーンを使って食事ができるようになり、たくさんの種類の食べ物が食べられるようになります。
大人の言っていることがだんだんと理解できるようになり、大人がやる事をよろこんで真似をするようにもなってきますので、この時期から『食事のマナー』や『歯みがき』を少しずつ教えると良いでしょう。
ただし、3歳頃には、食べ物の好き嫌いもハッキリしてきますので、出来るだけいろいろな食材に慣らして、なんでも良く噛んで食べるお子さんに育てましょう。
今回は、乳臼歯(奥歯)が生え、乳歯が生えそろう1歳半〜3歳頃のお口の特徴やケアのポイントをご紹介いたします。
乳歯が生えそろう頃のお口の特徴と歯みがき
この時期は一般的に虫歯にはなりにくいとされていますが、この時期に虫歯ができてしまうと将来永久歯が生えてきた時にも虫歯になる確率が高くなってしまいます。
また、この時期にお口に入った虫歯菌が少なければ少ないほど、将来虫歯になる可能性が低いともいわれていますので、しっかりと歯みがきでケアをしてあげましょう。
虫歯になりやすいところは?
この時期に虫歯になりやすい箇所は、上の歯の前歯の唇側と、生えたての奥歯の噛み合わせの面です。上の前歯は、歯と歯の間に食べかすが詰まりやすく、特に唇側は、だ液の出口から遠いので虫歯になりやすいところです。奥歯には、食べ物を細かくすりつぶすために深い溝がたくさんありますが、ここに食べかすが溜まりやすいので、歯みがきをする時は注意して丁寧にみがきましょう。
保護者による歯みがきのポイント
- お子さんの頭をひざに乗せるときは、あぐらを組むと安定します。
- 歯ブラシの毛先を歯の面に垂直に当てましょう。
- 軽い力で小刻みに優しく一本ずつみがきましょう。
- 虫歯になりやすい上下の奥歯の噛み合わせの面と、上の歯の前歯を特に念入りにみがきましょう。
- 上の前歯をみがくときは、歯ブラシを持たない方の手の小指で小帯(歯茎と唇をつなぐ筋)を傷つけないようにガードしてみがきましょう。
歯みがき以外でできるお口のケア
よく噛んで、だ液を味方につけましょう!
虫歯ができてしまうのは「虫歯菌」だけが原因なのではありません。お子さんをはじめ私たちが毎日飲んだり食べたりしている食べ物に含まれている糖分を、虫歯菌の代表とされている『ミュータンス菌』が分解し、その時に発生する強力な『酸』によって歯は溶かされてしまうのです。
糖分を摂取しすぎないこと、または糖分を摂取したらお口の中に留まらないように歯みがきをすることがとても大切ですが、それ以外にもできることがあります。
それは、『よく噛んで、だ液をだすこと』です。
実は、だ液には歯の表面のエナメル質を修復し、歯が溶けるのを防ぐ力があるのです。(再石灰化ともいいます。)虫歯になるというのは、「虫歯で歯が溶ける力」と「だ液の修復する力」のバランスが崩れて、修復が追いつかなくなるということなのです。ですから、だ液がきちんとでるように、お子さんに「しっかりと噛んで食べる習慣」を身につけさせてあげましょう。だ液を味方につければ、虫歯からお子さんの歯を守りやすくなります。
おやつや食事の与え方に注意を!
ジュースなどの甘い飲み物をダラダラと長時間飲ませたり、欲しがるからといっておやつを必要以上に食べさせてしまったりしていませんか?
長時間お口の中に糖質がある状態は、虫歯菌が酸を作る絶好の機会になってしまいます。
お子さんが泣くからといって甘いものを与える癖をつけてしまうと、より甘いものを好むようになって、将来虫歯になりやすい歯を育ててしまうことにもなりかねませんので、注意してくださいね。
『歯』そのものを丈夫にしましょう!
虫歯に負けない丈夫な歯をつくるためには、『歯』そのものを丈夫にすることも大切です。歯医者さんでフッ素を塗ってもらったり、乳臼歯(奥歯)の溝をプラスチックで埋めてもらったりする方法(シーラント)で、虫歯を予防するのも良いでしょう。家でできる方法としては、再石灰化を促進するハイドロキシアパタイトやフッ素を配合した歯みがき剤を使って歯みがきをしてあげることをおすすめします。
お子さんのお口のケア、よくあるQ&A
こどもが歯みがきを嫌がるのですが、何か良い方法はないでしょうか?
歯みがきは楽しいものというイメージを持たせましょう。
歯みがき中にお気に入りの歌を歌ってあげたり、歯みがきができたらたくさん褒めてあげたりして、お子さんが歯みがきに良いイメージを持てるように工夫しましょう。親御さんが人形やぬいぐるみの歯を楽しそうにみがいている様子をみせてあげるのもひとつの手です。やきもちを焼いて自分もみがいてほしい!と言ってくることがありますよ。時にはお子さんに親御さんの歯をみがいてもらうのも良いですね。どうしても嫌がる時は、無理にみがこうせずに、寝ている間に前歯や歯のくちびる側の面だけでもガーゼや歯みがきナップで拭いてあげると良いでしょう。
この時期はどんな歯ブラシを使ったら良いですか?
歯ブラシは2本使いで。年齢にあわせたブラシを選びましょう。
お子さん用と仕上げみがき用の2本を用意しましょう。1本は、歯をみがく習慣をつけるためのお子さん用の歯ブラシです。年齢別で歯ブラシがありますので、お子さんにあったものを選びましょう。もう1本は、仕上げみがき用の歯ブラシです。ヘッドが小さいほうがみがきやすいでしょう。毛先がひらいたら交換をお勧めしますが、効率よくプラークを落とすためにも1ヵ月に一度は交換しましょう。また、お子さん用の歯ブラシは、くわえたまま歩きまわったりすると危険ですので、注意してくださいね。
まだうがいができないのですが、歯みがき粉は使ったほうが良いですか?
うがいが不要な歯みがき剤もあります。
必ず歯みがき剤を使わないといけないというわけではありませんが、虫歯予防のためにはフッ素配合の歯みがき剤を使ってあげても良いでしょう。
うがいができないお子さん用の、飲み込んでも安全なジェルや液体状の歯みがき剤があります。これらでみがいた後に、ガーゼなどで歯みがき剤をふき取ってあげましょう。
歯みがき剤は、香味も様々な種類がありますので、お子さんの好きな味を選んであげましょう。
乳歯は永久歯が正しい位置に生えてくるための目印の役割をしています。虫歯などで乳歯を失ってしまうと、永久歯は生えてくる場所がわからないため、歯並びが悪くなってしまうことがあります。また、乳歯の虫歯が進行し、重症になってしまうと、乳歯の下でつくられている永久歯を溶かしてしまうこともあります。
お子さんは、自分では歯を守ることはできません。ぜひ周りの保護者の方が虫歯から可愛いお子さんの歯を守ってあげてくださいね。